《一言コラム》
前回のコラムでは、捨て犬の殺処分をゼロにした熊本市愛護センターの訪問ルポを紹介しました。
HP開設をはじめとした職員の様々な努力が、身勝手な飼い主から捨てられた罪のない犬達の“尊い命”を救っています。この熊本市愛護センターの取り組みは、成功例として注目されています。
では、全国の他の自治体は「捨て犬や捨て猫に対してどのような取り組みをしているのか」、今回はその実態を紹介したいと思います。
もうお読みになった方もいるかと思いますが、2009年4月13日発行の「AERA」でショッキングな記事が掲載されました。『隔週木曜日は“捨て犬の日”』というタイトルには、一瞬目を疑いたくなります。
この記事を書かれた太田匡彦さんは、昨今の「ペットブームの光と影」の影の部分をテーマに昨年末も取材記事を書いておられます。何度かお話しする機会がありましたが、つい先日もお会いしたばかりでした。
<みなさん『定時定点収集』という制度をご存知でしょうか?>
定時定点収集とは、「自治体が犬猫を捨てていい場所と日時を定め、それにあわせて飼い主が捨てに来る犬猫を、収集車が巡回して集める制度のこと」で、茨城県の場合、42ヶ所の「犬捨て場」があり、捨て犬が多い地域では隔週、それ以外は月に一度「捨て犬の日」が設けられているそうです。
他にも定時定点収集を行っている自治体は、愛知県や長崎県など全国に24(2007年度地球生物会議調べ)あります。これは、捨て犬引取り業務を行っている都道府県、政令指定都市、中核市などのうち約2割。
制度がない自治体では、犬を捨てたい飼い主は保健所や動物愛護センターに自ら出向く必要があります。定時定点収集とは、つまり犬を捨てやすくする行政サービスといえるのです。(太田氏)
<「犬を捨てやすくするのが、サービス?!」>
一部の身勝手な飼い主のための“住民サービス”は本当に必要なのでしょうか?
茨城県では、収集箇所を年々減らし、つまりこのサービスを低下させることが捨て犬の数も減らすことにつながるという結果をもとに「安易に引き取る事を減らす」努力を続けています。
宮城県では、2007年度まで70ヶ所で行っていた定時定点収集を昨年すべて廃止にしました。
現在は、県内9ヶ所の保健所で引取りを行っていますが、必ず獣医師がいて、その場で飼い主を指導できる体制が整う日だけに留めています。一部の市町村や住民からは「住民サービスの低下だ」と批判や反発も出たそうですが、あまりに簡単に捨てられる現状を何とかするためには、「安易に引き取ってはならない」と廃止に踏み切ったそうです。
太田さんは、実際にこの「捨て犬の日」に集まってきた飼い主とその犬に話を聞き、こうして捨てられた犬たちがその後どんな運命をたどっていくのかも取材されました。東日本のある自治体で行なわれている殺処分の様子を目にした時は、さぞかし息の詰まる思いだった事でしょう。
<犬を捨てる理由>
このように、全国で12万9937匹の犬たちが地方自治体に引き取られ、そのうち9万8556匹が命を失っていくというのが現状…。(2007年度の統計より)
では、「どうして一緒に生活をともにしてきた犬を捨てることになってしまったのか?」という疑問は、飼い主が犬を捨てる際に行政機関に提出する『犬の引取申請書』をみるとわかります。(各地方自治体への情報公開請求によって入手)
2007年4月1日〜2008年3月31日までに、全国の政令指定都市、関東地方の各都県(茨木県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、愛知県、近畿地方の2府2県(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)が受理した『犬の引取申請書』によると、実に身勝手な飼い主の姿が浮き彫りになります。
たとえば、犬種ごとに多いものをみてみると・・・。
柴犬687匹。ダックスフント466匹。シーズー373匹。ラブラドールレトリバー201匹。ゴールデンレトリバー170匹。ビーグル168匹。土佐犬145匹。マルチーズ144匹。チワワ139匹。ヨークシャーテリア130匹。コーギー127匹。秋田犬118匹。プードル102匹。ポメラニアン95匹。パピヨン71匹。シベリアンハスキー66匹。紀州犬62匹。イングリッシュセッター55匹。シュナウザー52匹。シェパード52匹。
また、捨てられた理由は、「飼育不能(飽きた、子犬が産まれた、処置に困る、離婚した、未記入も含む)」が圧倒的に多く、次いで 「犬の病気・ケガ・高齢」「飼い主が病気・死亡(生まれた子供が犬アレルギーというのも含む)」、「転居」「鳴声がうるさい」「人を噛む」「金銭的な原因」。
病気などで自分が飼えなくなっても、新たな飼い主を探す努力はしたのでしょうか…?
犬は“生きもの”、病気もすればケガだってします。歳をとれば人間と同じように、痴呆の症状が出たり介護が必要になります。
転居の際に、ペットが飼える物件
を探す努力はしたのでしょうか…?
今は、ペット可の物件
は増えてきています。
しつけはちゃんとしましたか…?
「警戒心が強くてよく鳴く」ことがその特徴とされる犬種もいるのを知って選びましたか?
「捨てる理由」の大半は、飼い主の心ひとつで解決できるものばかりなのです。
<考え直そう、終生飼養>
過去にペットを捨ててしまった人も含め、今ペットのいる生活をしている方々、人間と同じ「命」をもった生きものとして暮らしてきたか、ちょっと振り返っていただきたいと思います。
犬や猫などのいる生活で得られる幸福感は、どんな出費にも手間隙にもかえられないものではないでしょうか。
私も、太田さんの取材談を伺って、愛玩動物を飼う人の義務である「責任を持って最後まで」の、“最後まで”ということを今一度考え直さずにはいられませんでした。
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